はじめに
アングラーの方でも、サーファーの方でも、海流と潮流の「明確な違い」というのがきちんと説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか⁉
そこで、まずはその「違いについて」かんたん解説してから、日本海の海水の流れがどのような動きをしているのか? 予測情報にもとづいて、見立てていきたいと思います。
特にアングラーの方にとって「海水の流れ」というのは、釣果に繋がる有力な有益情報になるかと思いますので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
※潮見表は「TIDE GRAPH-B1」アプリケーションより
タイドグラフBI / 潮見表アプリ - Google Play のアプリ
※海流及び潮流については「Windy.com」より情報をいただいております。
Windy: Wind map & weather forecast
海流と潮流の違いとは
海流と潮流というのは海水の流れを表す用語ですが、海流と潮流のいったい何が、どう違うのか⁉という事をかんたんに解説したいと思います。
流れについての「メカニズム」そのものは、この記事の主旨ではありませんので、ごく簡単な解説しかしませんが、詳しく知りたい人は、以下のWEBサイトにてご覧ください。
詳しく知りたい方はこちらからどうぞ☞海流と潮流は違う: 海洋学研究者の日常
海流
日本の近海において、太平洋側で沿岸を「北から南」へ親潮が流れているのが寒流、また「南から北」へは黒潮が流れており、これを暖流と呼びます。日本海側においては、沿岸を「南から北」へ流れている海流がありますが、この海流は暖流で「対馬暖流」と呼ばれております。
海の中はさまざまな要因で複雑な流れが随所でおきますが、その中でも常に一定の方向に流れている流れを海流と呼びます。基本的には一定方向に吹いている風波に起因して発生しますが、海水温や環境の影響を受けて表層~下層と流域を変えながら流れております。
潮流
潮流というのはいわゆる「潮の満ち引き」によって出来る海水の流れで、満干においておよそ180°ほど変わる海水の流れの事を言います。こちらも底状や地形、流速などさまざまな要因によって複雑に変化します。釣りに影響が大きいのは主に潮流になります。
また、潮流はうねりや波にも影響します。うねりや波と進行方向が同じなら、うねりや波の速度は速くなり、波高は低くなります。…逆の場合だと作用も反してスピードも鈍化したり、波高も高くなり、合わせて「三角波」にもなりやすくなります。
4月においてのシミュレーション
もちろん、実際に流れている状況と見立てが必ずしも一致するとは限りませんが、実はそれだけではなく、上げ潮と下げ潮が必ず一定方向とも限らないのが実状です。
この記事では、4月半ばでの山口県にある「江崎港」の中潮(2日目)の潮見表を見ながら、少し広範囲な海流方向を見ていき、その特性を解説したいと思います。
比較検証
さっそくいきますが、以下の画像は午前3時の「潮流」の状況になります。
潮見表ではいわゆる「下げ潮」になりますが、左側(九州方面)から右方向(鳥取方面)へと流れております。これが下げ潮時のいわゆるベーシックな潮の流れになります。
ちなみに海流、潮流共に矢印が長いほど流速が早い事を示しており、着色もかえてありますので、強弱のグラデーションはイメージがしやすいかと思います。
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そして、こちらは同時刻での「海流」の流れになります。
こちらの流れも、ほとんど同一方向に近いのですが、島根県沖(右上あたり)は少し違っており、沿岸に近いところの流速がかなり早くなっているのが分かります。
はい。次は満潮時刻のおよそ「1時間40分前」となる午前10時の潮流予測です。
この頃には、山口県長門市沖あたりで少し変化がみられてきます。場所によって「潮変わり」が始まる時間が違う事が、このような特性から見てとれます。
こちらは同時刻での「海流」になります。
こちらは萩沖で回っておりますが、島根県益田市から鳥取県方面にかけては潮流とは逆に流れとなっております。いわゆる本流の作用が少し効いている状態と言えます。
そして、ここは少し細かく刻みますが「潮流」の午前11時の状況です。
満潮のおよそ1時間40分前になりますが、こうなると「江崎港」も潮が完全に逆方向に変わったのが分かります。…ちなみに島根県浜田市は潮が変わっている最中です。
同じ時刻の「海流」ですが、流速がかなり速くなってきております。
特に山口県の見島沖と、島根県の江津あたりは、まるで川のような流れになっている事が分かります。これで、海流も潮流も満潮時刻のおよそ「1時間40分前」頃には流れる方向が変わったという事になります。
次はいわゆる「下げ3分」となる午後3時の潮流の状況です。
全般にかなり速い流速となっております。この状況だと魚の活性が上がっているところは多いかと思います。…いわゆる潮通しが良い状態、という事になります。
魚の活性が上がるロジックは、流速による「代謝の向上」、及びプランクトン類の巻き上げによる「食物連鎖の活発化」というのが主な要因となります。
本格海底地図はコレ
はい。同時刻の海流の状況ですが、いわゆる本流である「対馬海流」にのって、激流となっているようなところが沢山あります。
見島沖などはおよそ「1.5ノット」くらいの流速となっております。
今度はおよそ「下げ8.5分」といったところでしょうか。干潮のおよそ1時間50分前である、午後6時の潮流の状況になります。
ちょうど「江崎港」あたりで潮がかわっているのが分かります。阿武町や萩沖ではすでに潮の流れる方向は変わっております。
はい。同時刻での海流になります。どうしても本流(対馬暖流)の影響を受けますので、ラグが生じて阿武町や萩沖が少し変化している最中という状況です。
上げ下げや、強弱での違いはもちろん出てきますが、基本的には潮流が先でタイムラグを持ちながら海流が同調したり、しなかったり(2枚潮の複数パターン中の1種)というのが、複雑な海流のパターンとなります。
水深150Mでも使用可能の水中カメラ
最後になりますが、次はド干潮からおよそ2時間後となる午後10時の潮流状況です。
流速も江崎港から西方面にかけては、全般的に少し速くなっている事が分かります。これが上げ潮の「典型的」な形になります。
はい。同時刻での海流ですが、本流(対馬暖流)の影響を受けますので「上げ潮時の勢い」はどうしても弱い方向に作用しがちになります。
益田市から浜田市にかけては停滞している状況が見てとれます。阿武町から西方面は潮流とも同調、かつ潮通しも良いので魚の活性も良い事が想像できます。
まとめ
同時刻での海流と潮流の予測データを相対的な形で説明してまいりましたが、実質的にアングラーにとって関連性が高いのは「潮流」の方のデータになります。
つまり、ターゲットエリアの潮流を確認して「ポイント決めする」というのが、起こすべき大事なアクションとなります。…あとは「Windy」で表している予測データと、実釣してみて実際に起きている海の状況を照合していく事が大切です。
なぜなら、そのように現状を認識しながらデータを積み上げていく事で、ある程度のフィールドのクセが掴めてくるからです。そうすると更に「予測精度」が上がるという好循環が生じてきます。
また、陸から釣りをする場合には「岸際」の状況確認となりますので、地形や沖の潮流の早さによって更に複雑な潮流パターンが生じる事が多くあります。
…このように、フィールドによって見立ても異なってきますが、「沿岸域」としての傾向をマクロでみる事で、回遊してくる魚の接岸パターンなども見えてくるかも?知れませんので、いずれにしても全体の動きを把握しておく事に越した事はありません。
そのようにロジカルに予測立てしながら「現場現状」に沿った釣りパターンで遊ぶと、釣行そのものが更に面白くなるのではないでしょうか。
※余談ですが、Windyの表記はパソコンで見た方が「流れる方向」が格段に分かりやすく、タブレットやスマホでは分かりにくい感じです。ご参考までに。
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